しださがし

福岡県から九州各地で見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

★掲載種(雑種)一覧

◆Aspleniaceae

Asplenium

イチョウシダ

[雑種]

イセザキトラノオ

 

◆Athyriaceae

Athyrium

アオグキイヌワラビ

ウスバヘビノネゴザ(キリシマヘビノネゴザ)

カラクサイヌワラビ

サカバサトメシダ

サキモリイヌワラビ

サトメシダ

タカサゴイヌワラビ (鹿児島県)

トガリバイヌワラビ(ナガエイヌワラビ)

トゲカラクサイヌワラビ

トゲヤマイヌワラビ

ヘビノネゴザ

ホウライイヌワラビ

ホソバイヌワラビ

ミヤコイヌワラビ(ダンドイヌワラビ)

ルリデライヌワラビ(ヒロハイヌワラビ)

[雑種]

アイトガリバイヌワラビ

オオカラクサイヌワラビ

オオサカバサトメシダ

オオサトメシダ

カラサキモリイヌワラビ

ハツキイヌワラビ

ヒサツイヌワラビ

ホソバトゲカラクサイヌワラビ

ムラサキオトメイヌワラビ

ヤマカラクサイヌワラビ

ヤマサカバサトメシダ

ユノツルイヌワラビ

 

Diplazium

イヨクジャク

ウスバミヤマノコギリシダ

ノコギリシダ

[雑種]

アカメクジャク

セフリワラビ

ダンドシダ

ツクシワラビ

 

◆Dryopteridaceae

Arachniodes

オトコシダ

オニカナワラビ

コバノカナワラビ

シビカナワラビ (鹿児島県)

ツクシカナワラビ

ツルダカナワラビ(鹿児島県)

ハガクレカナワラビ (佐賀県)

ハカタシダ

ヒゴカナワラビ(熊本県)

ヒロハナライシダ

ホソバカナワラビ

[雑種]

イヌツルダカナワラビ(鹿児島県)

エンシュウカナワラビ

オニコバカナワラビ

ゴリカナワラビ(鹿児島県)

トミタカナワラビ(熊本県)

フクオカカナワラビ

ホソバハカタシダ

ヤマグチカナワラビ

 

Ctenitis

サツマシダ (鹿児島県)

 

Cyrtomium

イズヤブソテツ

ツクシヤブソテツ(熊本県)

テリハヤブソテツ

ナガバヤブソテツ

ヒロハヤブソテツ

ミヤコヤブソテツ

ヤブソテツ(ツヤナシヤブソテツ型)

ヤブソテツ(ヒラオヤブソテツ型)

ヤブソテツ(ホソバヤマヤブソテツ型)

[雑種]

ナガバヤブソテツモドキ

 

Dryopteris

タカサゴシダ

タカサゴシダモドキ

ツクシオオクジャク

ニセヨゴレイタチシダ(宮崎県)

ヒロハトウゴクシダ

ベニオオイタチシダ

ミヤマイタチシダ

ヨゴレイタチシダ(鹿児島県)

 [雑種]

ナンゴクオオクジャク

 

Polystichum

キュウシュウイノデ (鹿児島県)

[雑種]

オンガタイノデ

キヨズミイノデ

ツヤナシイノデモドキ

ツヤナシフナコシイノデ

 

Hymenophyllaceae 

Hymenophyllum

コケシノブ

 

Vandenboschia

ヒメハイホラゴケ

 

◆Lindsaeaceae

Osmolindsaea

サイゴクホングウシダ

 

◆Polypodiaceae

Lepisorus

コウラボシ(宮崎県)

ツクシノキシノブ

 

Leptochilus

コマチイワヒトデ (鹿児島県)

 

Polypodium

オシャグジデンダ

 

◆Pteridaceae

Pteris

アイコハチジョウシダ(鹿児島県)

キドイノモトソウ

クマガワイノモトソウ(熊本県)

サツマハチジョウシダ(鹿児島県)

ニシノコハチジョウシダ(鹿児島県)

ヒカゲアマクサシダ(三重県)

ヒノタニシダ(鹿児島県)

ヤワラハチジョウシダ(鹿児島県)

 [雑種]

イツキイノモトソウ(熊本県)

ナンピイノモトソウ(熊本県)

 

◆Thelypteridaceae

Thelypteris

ミゾシダモドキ (鹿児島県)

 

ウスバヘビノネゴザ(キリシマヘビノネゴザ)

種名:ウスバヘビノネゴザ(キリシマヘビノネゴザ)

(Athyrium tashiroi Tagawa, Athyriaceae)

解説:高標高地で見られる幅広のヘビノネゴザ

場所:福岡県西部

確認日:2018.9.2、2018.9.15

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分類についてはいろいろと議論のある種ですが、遺伝子的にはウスバヘビノネゴザとキリシマヘビノネゴザを識別することは支持されていないそうです。まだ福岡県と宮崎県の一部の個体群しか観察できていないので、形態的にどうかはわかりませんが、今まで見てきたものはウスバヘビノネゴザだと認識しています。

生育する場所の明るさにより葉色が多少異なり、また幼株では葉が披針形をしているため、ヘビノネゴザと紛らわしいかもしれません。明るくやや乾いた場所に生えているものは葉質がやや固く、軸が濃い紅紫色をしていました。

 

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これはヘビノネゴザ。ウスバヘビノネゴザに比べると側羽片数が多く、また小羽片が小さくて密、切れ込みも浅いです。中軸の色にはどちらも藁色〜淡紅紫色の変異があり、あまりあてにしていません。

 

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ウスバヘビノネゴザの最下側羽片。

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ヘビノネゴザの最下側羽片。

小羽片の間隔や切れ込み具合に差があります。写真では伝わりにくいですが、薄明るい林床での葉質はウスバヘビノネゴザが薄い草質でヘビノネゴザは草質くらいかな。

 

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ウスバヘビノネゴザの葉身中部の側羽片。

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ヘビノネゴザの葉身中部の側羽片。

 

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ウスバヘビノネゴザのソーラス。

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ヘビノネゴザのソーラス。

ヘビノネゴザに比べて、ウスバヘビノネゴザのソーラスはより軸寄りにつきます。

 

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ウスバヘビノネゴザの葉柄基部の鱗片。

福岡県植物目録に記載のあったとおり、確かに細長い鱗片が交じる場合もあるのですが、典型ではないようです。細長いというよりは、幅広いものがより多いように感じます(※採取許可はいただいています)。

 

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岩上に生えていることが多く、よじ登ろうとしたらツタウルシが多くて断念しました...。個体数は割と多いです。

ヘビノネゴザ

種名:ヘビノネゴザ

(Athyrium yokoscense (Franch. et Sav.) Christ, Athyriaceae)

解説:鉱山で見られることの多いイヌワラビ

場所:福岡県西部

確認日:2018.8.26

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本州の皆様にはお馴染みのヘビノネゴザですが、福岡県内では分布の少ないイヌワラビです。この個体は石灰岩の低山地で見つけたもの。場所によっては高標高地でも出現するようですが、その辺りになるとウスバヘビノネゴザ(キリシマヘビノネゴザ)の範囲に入るので識別は要注意。

 

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ヘビノネゴザの最下側羽片。

羽状複生くらいで、小羽片は浅裂しています。

 

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ヘビノネゴザの葉身中部の側羽片。

小羽片の基部は羽軸に延着しています。葉は草質です。小羽軸上には、ホソバイヌワラビのような突起はありません。

 

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ヘビノネゴザのソーラス。

ソーラスは馬蹄形から楕円形で、軸と辺縁の中間からやや辺縁寄りにつきます。

包膜は全縁でした。

写真の中軸は藁色ですが、高標高帯(宮崎県北部)で見たヘビノネゴザは淡紅紫色でした。

 

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ヘビノネゴザの葉柄基部の鱗片。

狭披針形か広線形といったところ。中央が濃褐色で、辺縁が淡褐色ですが、各色調帯の幅は、個体(内)間で差があるようでした(ほぼ全面が濃褐色のものもあれば、濃褐色の部位が広いものもある)。




 

ミヤマイタチシダ

種名:ミヤマイタチシダ

(Dryopteris sabaei (Franch. et Sav.) C.Chr., Dryopteridaceae)

解説:九州本土では福岡県のみ?

場所:福岡県

確認日:2018.9.17

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ミヤマイタチシダです。本州の冷涼な場所においては一般種ですが、九州本土では稀な種で、標準図鑑によると九州本土では福岡県のみの分布のよう。
福岡県レッドデータブック2011では「確認できなかった」とされていますが、今年調査した限りでは数十株の生育を確認しています(正確な数は伏せますが)。

が、こういうローカルな知見は、地方植物誌が無い福岡県では蓄積されずに風化していくわけですね。種子植物に至っては、植物目録すら頓挫しているし、博物館の人や先人の研究者の方々にはもう少し頑張ってほしかったな。。。

 

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ミヤマイタチシダの最下外側。

最下外側小羽片は2番目に比べてやや発達する程度。

 

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ミヤマイタチシダの葉身中部の側羽片。

クマワラビのように、葉脈は表面で凹みます。葉の表面には強い光沢があり、かっこいいです。

 

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ミヤマイタチシダの葉身頂部。

鉾状にはならず、なだらかに狭まります。

 

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ミヤマイタチシダのソーラス。

ソーラスは軸寄りに付きます。また、以下のように全体的には葉の上側2/3くらいについています。

 

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ミヤマイタチシダのソーラスの付き方。

 

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ミヤマイタチシダの鱗片。

葉柄には褐色で幅広の鱗片がやや疎らにつきます。中軸にもちょっとつきます。

ツルダカナワラビ

種名:ツルダカナワラビ(ツルタカナワラビ)

(Arachniodes yaoshanensis (Y.C. Wu) Seriz., Dryopteridaceae)

解説:最下側羽片の最下外側小羽片が発達しないカナワラビ

場所:鹿児島県

確認日:2018.12.1

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ようやく見つけました。ツルダカナワラビです。上から順に、実葉×2、裸葉、幼株です。雑種のイヌツルダカナワラビがいろいろな場所で確認されるのに対し、親のツルダカナワラビは稀にしか見つかりません。

 

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ツルダカナワラビの最下側羽片。

他のカナワラビ類の多くで発達する最下外側小羽片が発達しません。同じく発達しないと言われているシビカナワラビではたまに発達している株を見かけるのに対し、ツルダカナワラビでは発達している株を見かけませんでした(ここで数十株を見た限りではの話)。

 

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ツルダカナワラビの葉身中部の側羽片。

鋸歯の先端は、ハガクレカナワラビ程ではありませんが、芒状になっています。葉質はホソバカナワラビやコバノカナワラビよりも薄いです。光沢は強くありませんでした。

 

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ツルダカナワラビの葉身頂部。

鉾状にはならず、緩やかに狭まります。

ずっとイヌツルダカナワラビばかり見てきたので、これが本物か!とちょっと感動しました。

 

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ツルダカナワラビのソーラス。

やや軸寄りについています。包膜は確認できなかったため、また今度。

 

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ツルダカナワラビのソーラスの付き方。

葉身の上からつくのかと思えば、各側羽片では下側からついています。

 

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ツルダカナワラビの根茎。

やや這いますが、葉は近接して出ており、コバノカナワラビのように点在するように生育しています(コバノカナワラビも群落になることはありますが)。