しださがし

福岡県から九州各地で見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

イワヤシダ

種名:イワヤシダ(Diplaziopsis cavaleriana, Diplaziopsidaceae)

解説:ソーラスがソーセージみたいなシダ

場所:福岡県の西部、中部

確認日:2019.8.3, 2019.8.4

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イワヤシダです。県内ではごく稀に見かける種です。常緑広葉樹林でも杉植林でも確認しています。渋いカッコよさを感じるシダです。

夏緑性の種で、初夏の頃までは裸葉をつけており、その後実葉を展開しているようでした。セイタカシケシダやムクゲシケシダみたいに。

 

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イワヤシダの葉身。

側羽片と同形の頂羽片を持ち、葉質はみずみずしいです。

 

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イワヤシダの側羽片。

基部は広い楔形で、辺縁はやや波状縁です。

 

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イワヤシダのソーラスの様子①。

ソーラスは軸寄りにつきます。ノコギリシダの仲間とされていたことがあるのも無理はなさそうな付き方。

 

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イワヤシダのソーラスの様子②。

この葉はまだ若いため、ソーラスが細めですが、成熟するともっと肉肉しくなり、ソーセージのようだと比喩されることがあります。笑

 

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イワヤシダの葉脈。

2〜3列の網目を形成し、脈の末端は葉の辺縁に達しません。

 

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イワヤシダの葉柄基部の鱗片。

褐色の鱗片が疎らにつきます。

ナンカイイタチシダ

種名:ナンカイイタチシダ(Dryopteris varia, Dryopteridaceae)

解説:多形なイタチシダ(難解?南海?)

場所:福岡県の西部、東部

確認日:2018.10.3, 2019.7.28

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ナンカイイタチシダです。内陸よりは沿海地の樹林内や林縁部で見かける種で、形態の変異が大きいですが、福岡県では写真のように黄緑色の葉色の型のみを確認しています。

 

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ナンカイイタチシダの最下側羽片。

最下外側の小羽片は著しく伸張し、大型の葉では写真のように2番目の外側小羽片も伸張します。

 

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ナンカイイタチシダの葉身中部の側羽片。

小羽片は鎌状に曲がり、先端は鋸歯縁です。ちなみにこの個体の葉は光沢の無い黄緑色ですが、個体によって光沢があるものや黒っぽい緑色をしているものなど変異があります。

 

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ナンカイイタチシダの葉身頂部。

鉾状〜やや鉾状で、個体や葉によって程度に違いがあります。

 

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ナンカイイタチシダのソーラス。

軸と辺縁の中間に位置します。

 

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ナンカイイタチシダの包膜と小羽軸の鱗片。

包膜には毛状の突起があります。小羽軸の鱗片は基部がやや袋状です。

 

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ナンカイイタチシダの羽軸の鱗片。

小羽軸の鱗片の基部は袋状ですが、羽軸や中軸の鱗片の基部は袋状にはなりません。

 

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ナンカイイタチシダの葉柄基部の鱗片。

この個体は光沢のある赤紫色の鱗片をでしたが、型によっては褐色の鱗片をつけているものもいます。

クマワラビ

種名:クマワラビ(Dryopteris lacera, Dryopteridaceae)

解説:実葉では胞子のついた部分が萎縮する種

場所:福岡県の西部

確認日:2019.6.9

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クマワラビです。県内ではオクマワラビよりも山地で見かけるように思いますが、海岸近くの低山地にも生育していたりします。

 

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クマワラビの葉身。オクマワラビに比べると最大幅が明確に葉身の中央付近にあり、荒々しい風貌をしています。

 

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クマワラビの最下側羽片。

小羽片は複生〜独立し、大型の葉では更に切れ込みます。

 

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クマワラビの葉身中部の側羽片。

大型の葉では、葉身と同様に中央部に最大幅があり、小羽片が複生〜独立します。小羽片の先端は鋭頭です。

オクマワラビでは側羽片は深裂程度、裂片は鈍頭です。

↓オクマワラビの葉身中部の側羽片。

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クマワラビの葉身頂部。

ソーラスがつく部分の葉が萎縮するため、そうでない下部の葉に比べて小さくなっていることがわかります。この部分はより淡色であることが多いです。

胞子を散布した後、この萎縮した部分のみが枯れ落ちるため、先端部が無い葉をつけている状態になります。

 

 

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クマワラビのソーラスの様子①。

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クマワラビのソーラスの様子②。

ソーラスは葉身の上部(1/3くらいまでかな?)の範囲にのみつき、ソーラスの位置は辺縁と軸の中間です(写真ではやや軸寄りに見える)。

 

 

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クマワラビの葉面。

脈はオクマワラビに比べて明瞭に凹みます。

↓オクマワラビの葉面。

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クマワラビの葉柄基部の鱗片。

卵状に近い幅広の鱗片をつけます。褐色〜明褐色の明るい色をしており、オクマワラビに比べるとやや柔らかい(薄い?)です。

↓オクマワラビの葉柄基部の鱗片。

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クマワラビの葉柄基部の鱗片の拡大。

オクマワラビ(以下)に比べて幅広の鱗片で明るい色をしています。より柔らかそうですかね。

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オクマワラビの葉柄基部の鱗片の拡大。

イヌイワヘゴ

種名:イヌイワヘゴ(Dryopteris cycadina, Dryopteridaceae)

解説:側羽片が多くて細長いイワヘゴ

場所:福岡県の西部

確認日:2019.6.1、2019.6.9

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イヌイワヘゴです。イワヘゴに比べて側羽片が多く、白っぽい黄緑色をしていることが多いです。イワヘゴと混生することもありますが、より渓流沿いや林縁部に生育していることが多いようです。イワヘゴと比較します。

↓イワヘゴ(参考)

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イヌイワヘゴの葉身頂部。

側羽片はやや鎌状に曲がる傾向があります(程度は様々)。

 

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イヌイワヘゴの葉身基部。

側羽片は下部にかけて極端に短縮することはありません。最下側羽片〜下部数個の側羽片は反り返ります(この株はそんなに反り返ってないけど)。

 

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イヌイワヘゴの側羽片(葉身中部)。

イワヘゴに比べると細長くてやや鎌状に曲がります。イワヘゴに比べて葉脈が凹まないため、葉面はより平滑に見え、色はより白っぽい黄緑色です。

↓イワヘゴの側羽片(参考、どちらもフラッシュ使用)。

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イヌイワヘゴの葉身頂部のソーラスの様子。

軸寄りにつきます。

 

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イヌイワヘゴの葉身中部のソーラスの様子。

イワヘゴに比べると、どちらかと言えば軸よりについているように見えます。

↓イワヘゴのソーラスの様子(参考)。

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イヌイワヘゴの葉柄基部の鱗片の様子。

褐色〜濃褐色の鱗片で、先端部に広い淡色(褐色)部分があります。

イワヘゴに比べると全体的に明るい色です。

↓イワヘゴの葉柄基部の鱗片(参考)。

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ちなみに拡大した鱗片をイワヘゴと比較すると以下のような具合です。

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イヌイワヘゴの中軸下部の鱗片。

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イワヘゴの中軸下部の鱗片(典型的にはもっと黒いと思う)。

 

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イヌイワヘゴの葉柄の鱗片。

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イワヘゴの葉柄の鱗片。

イヌイワヘゴの方がより明るい色をしており、いずれも毛状の突起縁です。

イワヘゴ

種名:イワヘゴ(Dryopteris atrata, Dryopteridaceae)

解説:わりとかっこいいシダ

場所:福岡県の西部、中部

確認日:2019.6.23、2019.8.3

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お馴染みのイワヘゴです。湿潤な杉植林等で見かける種で、類似したイヌイワヘゴがツヤ消しな質感であるのに対し、つややかな質感をしています。イヌイワヘゴはどちらかと言えばイワヘゴの生育環境よりも渓流や水路沿い、日当たりの良い環境で見かけます。

 

↓イヌイワヘゴ

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イワヘゴの葉身の全体(フラッシュ使用)。

イヌイワヘゴに比べるとずんぐりした形をしています。

 

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イワヘゴの葉身の頂部。

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イワヘゴの葉身の基部。

最下羽片〜下部羽片のいくつかは明瞭に反り返ります(ツクシイワヘゴ比)。

 

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イワヘゴの葉身中部の側羽片。

ほとんど鎌状にはならず、またイヌイワヘゴ(以下)に比べて脈が少し凹むため目立ちます。裂片はごく浅い鋸歯縁〜浅裂くらいになります。

 

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イヌイワヘゴの葉身中部の側羽片(比較用)。

側羽片はやや鎌状に曲がります。脈は凹まないため、イワヘゴに比べて平滑な葉面です。

 

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イワヘゴのソーラスの様子(葉身頂部)。

軸寄りに優先して付きます。

 

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イワヘゴのソーラスの様子(葉身中部の側羽片)。

軸と辺縁の中間に2(〜3)列に並んでいます。

 

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イワヘゴのソーラスの様子(葉身下部の側羽片)。

(やや?)軸寄りに付きます。

 

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イワヘゴの葉柄基部の鱗片。

光沢のある黒褐色の鱗片が密につきます。

イヌイワヘゴでは、褐色〜濃褐色で先端部が淡色の(より明るい色の)鱗片がつきます。

↓イヌイワヘゴの葉柄基部の鱗片。

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イワヘゴの葉柄の鱗片。

毛状の突起縁です。

 

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イワヘゴの中軸基部の鱗片。

こちらも毛状の突起縁です(黒褐色というより濃褐色かな?)。

ちなみにイヌイワヘゴでは以下のとおり。

 

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イヌイワヘゴの葉柄の鱗片。

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イヌイワヘゴの中軸基部の鱗片。