オオスミイワヘゴ
種名:オオスミイワヘゴ(Dryopteris x pseudocommixta, Dryopteridaceae)
解説:ツクシイワヘゴとワカナシダの雑種
場所:宮崎県
確認日:2019.5.25
オオスミイワヘゴです。ちょっと難しいかもしれません。ツクシイワヘゴとワカナシダの雑種で、宮崎県の両種が混生する場所で確認しました。ツクシイワヘゴに変異の幅がある程度あるため、慣れていないと誤認してしまうかもしれません。
オオスミイワヘゴは、ツクシイワヘゴに似た風貌をしていますが、裂片間の隙間がやや目立ちます。
オオスミイワヘゴの葉身頂部↑
ツクシイワヘゴの葉身頂部(参考)↑
ワカナシダの葉身頂部(参考)↑
ワカナシダとは裂片の隙間の開き具合が異なることがわかりますが、ツクシイワヘゴとの間では差異が微妙ですが、オオスミイワヘゴの方が裂片間の隙間がやや広いです。また、葉身頂部にかけての裂片の数・開き具合はワカナシダの影響が伺えます。
オオスミイワヘゴの側羽片↑
ツクシイワヘゴの側羽片(参考)↑
ワカナシダの側羽片(参考)↑
側羽片の裂片の形態を見ても、やはりワカナシダとの差異はわかりやすいです。ツクシイワヘゴに比べると、オオスミイワヘゴではより裂片の間の隙間が広く、またワカナシダのように裂片がやや角張っています。
葉の色合いは、ワカナシダのような灰緑色ではなく、ツクシイワヘゴに類似しています。
オオスミイワヘゴ(左)とワカナシダ(右)の比較
ちょうど近くに生えていたので、裂片の形や質感の違いを比べてみました。ワカナシダとの間では違いは明瞭ですね。
オオスミイワヘゴのソーラス
ワカナシダのようにソーラスは小さいです。また、ツクシイワヘゴでは包膜は普通小さくて早落性ですが、オオスミイワヘゴではやや目立つくらいの大きさで、疎らに宿存していました。なお、胞子は不定形でした。
ワカナシダ(左)とオオスミイワヘゴ(右)のソーラス
オオスミイワヘゴのソーラスは小さいとは言っても、これはツクシイワヘゴに比べればの話で、ワカナシダに比べるとソーラスはやや大きめです。
オオスミイワヘゴの鱗片
ツクシイワヘゴに似た付き方ですが、量はやや少なく、一部に褐色のものが混じっていました。