ヤワラハチジョウシダ

 種名：ヤワラハチジョウシダ（Pteris natiensis Tagawa, Pteridaceae）

解説：無柄のハチジョウシダ類

場所：鹿児島県

確認日：2018.8.19 

ヤワラハチジョウシダです。ハチジョウシダ類を連投しました。

ハチジョウシダのように側羽片基部が狭まりますが、側羽片は無柄で、側羽片数も4〜5対程度と少なく、ビロードのような質感があります。質感はサツマハチジョウシダに類似していますが、サツマハチジョウシダの側羽片は幅が均一で、基部がより深い心形です。

ニシノコハチジョウシダ...軸折れする、側羽片幅は均一で基部は切形〜浅い心形
サツマハチジョウシダ...軸折れする、側羽片幅は均一で基部は深い心形で軸に重なる
アイコハチジョウシダ...軸折れする、側羽片幅は均一で基部はほぼ切形

ヤワラハチジョウシダの最下側羽片。

サツマ、アイコ同様に普通1つが発達します。

ヤワラハチジョウシダの側羽片。

側羽片は無柄で、基部にかけて狭まり、最大幅が中央付近にあります。また、やや鎌状に曲がります。

ヤワラハチジョウシダの側羽片基部。

無柄の心形で、サツマハチジョウシダよりは心形の度合いが浅いです。

サツマハチジョウシダの側羽片基部。

ヤワラハチジョウシダの葉身頂部。

他のハチジョウシダ類と同様に明瞭な頂羽片があります。

ヤワラハチジョウシダのソーラス。

ヤワラハチジョウシダの羽軸周辺の葉脈。

ソーラスは裂片の辺縁、基部と最上部を除いてつきます。

各裂片の中肋最下部の、側羽片下側に付く脈（Y字型のやつ）は、羽軸から出ています。類似のサツマハチジョウシダでは、中肋と羽軸の結合点から出ます（以下）。まあ全ての結合点がそうというわけではないのだけれど。

サツマハチジョウシダの羽軸周辺の葉脈。

詳しくはこちらの論文を参照ください。

CiNii 論文 -  わが国におけるハチジョウシダとそのなかまについて

ヤワラハチジョウシダの羽軸と裂片の突起。

サツマハチジョウシダよりはやや長いものの、上記の論文にあるように、かなりはっきりした突起...というわけではなかった（無配生殖種だもの仕方ない）。

ヤワラハチジョウシダの葉柄基部の鱗片。

濃褐色で、辺縁は淡色です。早落性で、成熟葉では少し残っている程度。

ヤワラハチジョウシダの軸折れの具合。

葉柄が中軸に移行する箇所では、明瞭に屈折します。