トゲカラクサイヌワラビ
種名:トゲカラクサイヌワラビ(Athyrium setuligerum Sa.Kurata, Athyriaceae)
解説:カラクサイヌワラビ似で羽軸小羽軸に顕著な突起が生じる種。
場所:福岡県の西部、薄明るい湿地的なところ。
確認日:2017.7.23
2020.5.7追加写真(2018.7.1撮影)
生葉ではカラクサイヌワラビとは異なる独特な色調をしており、そこそこ判別しやすいです(やや黒っぽい緑色を薄くした感じの色)。
見た目の違いとしては、葉身上部がやや矛状にまとまるカラクサに対し、トゲカラクサイヌワラビでは不明瞭です。
最下羽片。羽軸の末端の突起が目立ちます。典型的なカラクサに比べて、この羽軸上に生じる突起は長かったです。
小羽片は鈍頭、カラクサよりほんの少し切れ込みが浅く(標本にするとむしろより切れ込んでた感)、一方で裂片の鋸歯はより目立つ印象を受けました。
側羽片には明瞭な柄があります。
斜めから。羽軸の突起が目立つことがわかるかと思います。
小羽軸上にも顕著な突起が生じますが、ホソバイヌワラビのごとく常にあるわけではなく、目立たない小羽片も多いです(小さい場合は特に)。
※ちなみに胞子は正常なので、アイトゲではありません。
最下小羽片の裏面。カラクサと名付けるだけあって、上側の裂片は耳状に張り出しています。ソーラスは中軸寄り。
大株になると、ソーラスには鉤型のものが混じるようになります。
(葉がちょっとボロかったので全体は掲載していません)
その他、目立つ特徴としては、葉柄が緑色で、葉軸は紫色という点。
カラクサは基本的に一面紫色になるので、識別点の1つになりそうです。
鱗片はカラクサのようにやや幅広で、辺縁はやや淡色。葉柄は緑色(再度)。
カラクサの黒褐色よりはやや淡い色合いでしたが、この辺は個体差ありそうなのでたくさん観察してみないとわかんないかな?