しださがし

福岡県から九州各地を中心に見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

ニセコクモウクジャク

種名:ニセコクモウクジャク(Diplazium conterminum, Athyriaceae)

解説:ソーラスが辺縁寄りになるコクモウクジャク近似種

場所:鹿児島県

確認日:2019.8.10, 2020.1.3

f:id:shidasagashi:20200120225809j:plain

 

f:id:shidasagashi:20200120225758j:plain

前にコクモウクジャクを掲載していたので、流れでニセコクモウクジャクです。

"ニセ"コクモウクジャクです(繰り返してみた)。

福岡県には分布していないため、鹿児島県本土で見た個体の写真を掲載します。慣れれば遠目にも識別できます。大型でかっこいいシダです。

コクモウクジャクに比べると、明るい緑色をしていることが多いですかね。

↓コクモウクジャク(福岡県産)

f:id:shidasagashi:20200120225508j:plain

 

 

f:id:shidasagashi:20200120230210j:plain

ニセコクモウクジャクの最下側羽片。

羽片・小羽片ともに柄は長めです。

 

f:id:shidasagashi:20200120230203j:plain

ニセコクモウクジャクの葉身頂部。

以下のコクモウクジャクの形態に比べると、裂片はより鋭頭で、鋸歯がより明瞭であるように思います。

↓コクモウクジャクの葉身頂部。

f:id:shidasagashi:20200107224454j:plain

 

 

 

f:id:shidasagashi:20200120225750j:plain

ニセコクモウクジャクの葉身中部の側羽片。

 

f:id:shidasagashi:20200120225741j:plain

コクモウクジャクの葉身中部の側羽片。

ニセコクモウクジャクの葉は平滑な感じですが、コクモウクジャクでは周縁部がやや反り返り気味で、膨らみのある葉です。質感的にはニセコクモウクジャクの方が硬いと思います。

 

f:id:shidasagashi:20200120225953j:plain

ニセコクモウクジャクのソーラス。

一番明瞭な識別点ですが、ニセコクモウクジャクのソーラスは葉の辺縁寄りに付きます。上の写真では既に胞子が散っており、ソーラスが葉(裂片)の辺縁を縁取っているように見えます。

 

f:id:shidasagashi:20200120225947j:plain

ニセコクモウクジャクのソーラス(若い時)。

 

f:id:shidasagashi:20200107224607j:plain

コクモウクジャクのソーラス。

こうして比較してみると、ニセコクモウクジャクのソーラスが、コクモウクジャクに比べて辺縁寄りであることがよくわかります。

ちなみに、掲載している写真の都合上、脈が二又分岐しているように見えますが、ニセコクモウクジャクも以下のとおりに単条です。

f:id:shidasagashi:20200120225943j:plain

ニセコクモウクジャクのソーラス(補足)。

 

 

f:id:shidasagashi:20200120230139j:plain

ニセコクモウクジャクの葉柄基部の鱗片。

黒褐色で、光沢があります。周縁部は濃い色をしており、突起縁です。

f:id:shidasagashi:20200120230149j:plain

ニセコクモウクジャクの鱗片の拡大。