種名:ヒカゲアマクサシダ(Pteris purpureorachis Copel., Pteridaceae)
解説:オオバノハチジョウシダ似の大型種(別名:ウスバアマクサシダ)
場所:三重県
確認日:2018.8.13
ヒカゲアマクサシダ。プライベートでは初めて紀伊半島に繰り出しました。遠いんだもん。九州のシダに限定して掲載してたけど拘る理由は無いので載せます。笑
一見、変なオオバノハチジョウシダかと思うくらいに大型個体の風貌は似ており、葉柄も含めると1mはあるような葉をつける株も多数いました。ただ、葉身長の割に側羽片数は少なく5〜6対程度までで、1つの側羽片がより幅広い印象でした。
葉の色合いや質はヒノタニシダにも似ているので、せっかくなので比較してみます(ヒノタニシダは鹿児島県の個体)。
これはヒノタニシダ。
(葉身の長さは同程度ですが)側羽片の数、側羽片の基部の幅や基部にかけての狭まり方が明らかに異なります。
ヒカゲアマクサシダの最下側羽片の様子。
最下外側の裂片は著しく発達します。
ヒノタニシダの最下側羽片の様子。
最下外側の裂片は同様に著しく発達しますが、基部にかけて狭まっています。
ヒカゲアマクサシダは基部にかけて狭まる傾向はなさそうです。
ヒカゲアマクサシダの葉身中部の側羽片。
ヒノタニシダの葉身中部の側羽片。
前述したとおりですが、裂片の角度や長さも異なっており、ヒカゲアマクサシダではより開出気味です。あとどちらも柄はほぼ無い。
ヒカゲアマクサシダの頂羽片。
ヒノタニシダの頂羽片。
こちらも前述したとおりです。両種とも羽片の先端は尾状に細長く伸張します。この辺はオオバノハチジョウシダやオオバノアマクサシダとの識別点になりそうですね。質感もかなり薄いので触ればわかるとも思います。光沢も若干あるかな。
ヒカゲアマクサシダのソーラスの様子。
ヒカゲアマクサシダの羽軸周辺の脈の様子。
ヒノタニシダの羽軸周辺の脈の様子。
ヒカゲアマクサシダは羽軸の周りで網目を形成せず、葉裏面の光沢がより弱そうです。比べてみると脈理の具合も異なることがわかります。
ヒカゲアマクサシダの中軸。
ヒノタニシダの中軸。
ヒノタニシダには硬質で不格好な突起がありましたが、ヒカゲアマクサシダの中軸は平滑でした。色はどちらも光沢のある紫褐色です。
ヒカゲアマクサシダの葉柄基部の鱗片。
ヒノタニシダの葉柄基部の鱗片。
どちらも褐色ですが、ヒノタニシダの樹脂みたいなものが気になる...。