しださがし

福岡県から九州各地を中心に見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

ツヤナシフナコシイノデ

種名:ツヤナシフナコシイノデ

(Polystichum ovatopaleaceum (Kodama) Sa.Kurata var. ovatopaleaceum x P. polyblepharon (Roem. ex Kunze) C.Presl, Dryopteridaceae)

解説:ツヤナシイノデとイノデの雑種(ツヤナシフナコシ)。

場所:福岡県西部

確認日:2018.6.24

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名前が長くて噛みそうです。イノデが絡んだ雑種を識別できたのは多分初めてでした。
明らかに色や風貌が異なり、違和感があったのでよく見てみるとツヤナシイノデとイノデの特徴を合わせ持つ個体でした。

 

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ツヤナシフナコシイノデの葉身頂部。

小羽片にイノデをすごく感じますね。

 

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ツヤナシフナコシイノデの側羽片(葉身中部)。

自然光での写真です。イノデよりはやや弱いですが、ツヤナシイノデよりは明らかに強い光沢があります(イノデの影響)。

 

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ツヤナシフナコシイノデの葉身基部。

側羽片や小羽片が丸っこい点にツヤナシイノデ感があります。

 

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ツヤナシフナコシイノデのソーラス(葉身上部)。

両親ともに中間生のため、ソーラスは中間生です。小羽片が鋭頭であることはイノデの、小羽片が重なり合っていることはツヤナシイノデの特徴です。

 

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ツヤナシフナコシイノデのソーラス(葉身下部)。

ソーラスが少ない時のつき方は、イノデモドキのように小羽片の耳片に優先することはありませんでした。

 

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ツヤナシフナコシイノデのソーラスのつき方。

ツヤナシイノデの特徴から、ソーラスは葉身の上部につき、葉身の下部では少なくなっていました(この個体は葉身が60cm近くもある成熟株です)。

 

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一応、胞子嚢のほとんどは未成熟でした。

 

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ツヤナシフナコシイノデの鱗片(葉身上部・中部・基部・葉柄下部)。

イノデに比べると葉身上部の鱗片は明らかに幅広いです。また、葉柄下部の鱗片には広卵形のものが混じります。

※逆毛にはなりません。

 

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イノデ(上)とツヤナシフナコシイノデ(下)の比較(葉身基部)。

ツヤナシフナコシイノデでは、イノデよりもやや幅広く、また少し白っぽい(ツヤナシイノデの影響)ことがわかります。

 

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イノデ(上)とツヤナシフナコシイノデ(下)の比較(葉柄基部)。

ツヤナシフナコシイノデでは広卵形の鱗片が混じります(ツヤナシイノデの影響)。