キヨズミオオクジャク
種名:キヨズミオオクジャク(Dryopteris namegatae, Dryopteridaceae)
解説:イワヘゴとオオクジャクシダの中間型
場所:福岡県北部、西部
確認日:2021.10.31, 2021.11.7
約半年ぶりのブログ更新となりました。さぼっていたわけではなく、野外調査に全集中していたためです。
キヨズミオオクジャクはシダ屋以外にもお馴染みの種だと思いますが、見解によってはイワヘゴと同一とする場合があります。ただし、形態的には概ね区別できるため、ここでは別種として掲載しておきます。福岡県においては、イワヘゴやオオクジャクシダよりも発見頻度が低い(稀)です。
↑キヨズミオオクジャクの葉身
最大幅は葉身の中央部にあります。側羽片はイヌイワヘゴのように鎌状にはならず、平行的です。
↑キヨズミオオクジャクの葉身基部
葉身基部の側羽片は、イワヘゴやイヌイワヘゴのように著しく下向きにはならず、広い角度で中軸についています。ツクシイワヘゴの雰囲気に近いですかね。
↑キヨズミオオクジャクの側羽片(葉身中部)
側羽片は浅く切れ込み、表面の脈は多少明瞭に凹みます。少し側脈があるかな、といった具合であるイワヘゴに対し、キヨズミオオクジャクでは明らかに凹んでいる感があります。ただし、オオクジャクシダ程ではなく、凹みが少し浅い(ところどころ不明瞭になっていたりする)ようです。
↓参考
左がキヨズミオオクジャクの側羽片、右がオオクジャクシダの側羽片。
オオクジャクシダの方が凹み方が明瞭です。
※その他のイワヘゴ類との比較はクマイワヘゴの記事をご参照ください。
↑キヨズミオオクジャクのソーラス(葉身中部)
↑キヨズミオオクジャクのソーラス(葉身下部)
オオクジャクシダとは異なり、イワヘゴのように羽軸と辺縁の中間位置に広くつきます。ソーラスの付き方としては、羽軸寄りに優先するようです。
↑キヨズミオオクジャクの葉柄基部の鱗片
黒褐色ですが、イヌイワヘゴのように端部が褐色になっていました。鱗片の量は、イワヘゴよりも少なく、オオクジャクシダよりは多いように思います。
↑キヨズミオオクジャクの中軸下部の鱗片
鱗片は黒褐色ですが、イワヘゴよりも突起が明らかに少ないです(毛状の突起が疎らにある)。
↓参考:
上がキヨズミオオクジャク、下がオオクジャクシダです。イワヘゴは近くにありませんでした...。葉の切れ込み、質感に違いがあることがわかります。