ヒメコケシノブ
種名:ヒメコケシノブ(Hymenophyllum coreanum Nakai, Hymenophyllaceae)
解説:ホソバコケシノブに類似した小さいコケシノブ
場所:福岡県東部
確認日:2020.8.23, 2020.9.21
ヒメコケシノブです。福岡県では新産となったコケシノブで、昨年発見して日本シダの会会報で報告しました(Vo.4, No.37)。標高1000m程の岩場で生育を確認しました。他のコケシノブ類と同様にやや疎ら〜密な群落を形成します。
従来、本種は"ホソバコケシノブ"に含められたり別けられたりしてきましたが、今は別種として扱われています。ホソバコケシノブの種複合体自体の分類がまだ研究途上で、色々とややこしいことになっているのですが、ここでは割愛します。
詳しくはシダの会会報の私の記事を参照ください(海老原先生の研究を初めとして最近の文献もそちらに引用しています)。
↑ヒメコケシノブの葉身全体
葉身(葉柄除く)の長さは10〜20mmで普遍的に見られるコウヤコケシノブやホソバコケシノブに比べると圧倒的に小さいです。側羽片は斜上〜やや開出気味につき、裂片は葉身の大きさの割に幅広いです。
ソーラスは葉の先端に集まってつき、裂片も全縁ですが、葉の裏面にはキヨスミコケシノブのような褐色の多細胞毛(以下参照)はありません。
↓キヨスミコケシノブの葉裏にある褐色の多細胞毛(参考)
↑ヒメコケシノブの包膜1
↑ヒメコケシノブの包膜2
包膜は円頭〜鈍頭で全縁です。
↑ヒメコケシノブの胞子嚢
深緑色を呈しており、正常に胞子を形成していそうです(胞子形状自体は未確認)。
↑ヒメコケシノブの根茎
コウヤコケシノブやホソバコケシノブのように細いワイヤー状です。
↑ヒメコケシノブの生育環境
写真中央周辺に点々と生えています(鮮緑色の部分)。