タカサゴシダ
種名:タカサゴシダ(Dryopteris formosana (Christ) C.Chr., Dryopteridaceae)
解説:伸張する最下外側小羽片が特徴の種。
場所:福岡県の西部。
確認日:2015.8.10, 2017.10.1, 2018.6.24(追記)
(2018.6.24追記分)
県内には2ヶ所に産地があるとされていますが、そのうち"典型的な"タカサゴシダが確認できるのはここ1ヶ所のみです。もう片方の産地に分布するのは、やや類似するタカサゴシダモドキとされる型です。
筒井さんがおっしゃっていた通り、ここの型がいわゆるタカサゴシダだと私も考えています。
よく称される五角形の葉身ですが、裸葉の時に顕著な形のようです。
最下羽片の外側第一小羽片のみでなく、第二小羽片以降もやや伸張するので羽片が幅広いこと、頂部が急に狭まることからくる形状です。
タカサゴの最下羽片の様子(2枚)。
最下羽片の外側第一小羽片は著しく伸張します。
以下、タカサゴシダモドキと比べてみます。
タカサゴシダモドキの最下羽片の様子。
タカサゴシダでは側羽片の柄がやや長く、モドキでは柄が短く詰まっているような違いがあります。また、モドキでは小羽片がやや幅広いため、小羽片のつく間隔がやや広く見えるかと思います。
タカサゴシダの中部側羽片。
タカサゴシダモドキの中部側羽片。
やはりタカサゴシダの方がモドキよりも柄が長いようです。モドキの小羽片はやや丸っこいですかね。
また、大型のタカサゴシダでは中部の側羽片でも最下外側小羽片が伸張する傾向がありそうです。
タカサゴシダの葉身頂部。
タカサゴシダモドキの葉身頂部。
モドキではやや穂状にまとまるのに対し、タカサゴシダでは急に狭まっています。
タカサゴシダのソーラスの様子。
中間性です。ちなみに各軸の背軸側には黒色の鱗片がやや密生しています。
タカサゴシダのソーラスの様子(2018.6.24追記)。
包膜は白色で、淡紅色になることはありません。
鱗片の様子。
黒褐色〜濃褐色で、披針形に広披針形のものが混じります。
モドキやヒロハトウゴクに比べて、やや幅広く、若干膜質な感じがあります。
あと一応タカサゴシダモドキはこんな。
以上のように、タカサゴシダとタカサゴシダモドキには明確に区別できる特徴がありそうです。まあ多分どちらも無融合生殖なので、いくらか変異はあると思われます。
少なくともモドキの方にもやや変異がありそうなので、この2型の実体は異なると考えるのが妥当かなと考えます。ちなみにネットで検索してでてきたタカサゴシダのほとんどはモドキの型であって、タカサゴシダの型ではなさそうでした。