しださがし

福岡県から九州各地を中心に見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

イセザキトラノオ

種名:イセザキトラノオ(Asplenium x kitazawae Sa.Kurata et Hutoh, Aspleniaceae)

解説:クモノスシダとコバノヒノキシダの雑種

場所:福岡県の東部

確認日:2017.11.26

f:id:shidasagashi:20171126222148j:plain

主に石灰岩地に生育するクモノスシダとコバノヒノキシダの雑種です。

フォルムはクモノスシダ寄りですが、単羽状になっており、明確に識別できますね。

 

f:id:shidasagashi:20171126222435j:plain

これがコバノヒノキシダ。

 

f:id:shidasagashi:20171126222444j:plain

これがクモノスシダ。

 

雑種を確認した場所は、この両種が混生する場所でした(というかイセザキトラノオの根元にコバノヒノキシダとクモノスシダが両方生えてた)。

筒井さんが1977年に採集しているようですが、これは私がマダニに負けずに藪漕ぎを頑張って見つけた別の個体です。笑

 

f:id:shidasagashi:20171126222137j:plain

f:id:shidasagashi:20171126222143j:plain

イセザキトラノオの葉身の拡大(2枚)。

クモノスシダの全縁の単葉に、コバノヒノキシダが混ざっているため、単羽状になっており、裂片には鋸歯が生じています。

クモノスシダといえば無性芽ですが、イセザキトラノオの葉身の先端には無性芽の気配はありませんでした。

 

 

f:id:shidasagashi:20171126222133j:plain

イセザキトラノオの葉身基部の拡大。

掲載したクモノスシダの写真からわかる通り、クモノスシダの中肋はあまり目立ちませんが、イセザキトラノオではコバノヒノキシダのように中肋が明瞭に突出しています。

また、葉脈もはっきりしています。

 

f:id:shidasagashi:20171126222124j:plain

f:id:shidasagashi:20171126222505j:plain

イセザキトラノオのソーラス(2枚)。

各裂片についています。

胞子嚢はわしゃわしゃしていますが、未成熟でした。

 

 

f:id:shidasagashi:20171126222450j:plain

イセザキトラノオの鱗片。

Aspleniumの仲間と言えばこの格子状の鱗片が特徴です。

以下にクモノスシダとコバノヒノキシダの鱗片も掲載しますが、イセザキトラノオの鱗片の長さは両種の中間でした。

イセザキトラノオ:4.5mm

クモノスシダ:1.5mm

コバノヒノキシダ:(標本とってなかったけど、標準図鑑によれば3-6mmくらい)

 

f:id:shidasagashi:20171126222439j:plain

クモノスシダの鱗片。短い。

 

f:id:shidasagashi:20171126222533j:plain

コバノヒノキシダの鱗片。長い。