種名:ウスバツクシワラビ
(Diplazium × kanayamaense K. Hori & H. Kanemitsu., Athyriaceae)
解説:ウスバミヤマノコギリシダとヒカゲワラビの推定雑種
場所:福岡県の西部
確認日:2017.7.1, 2017.10.7, 2017.11.19, 2018.7.15, 2019.7.14
シダの会会報Vol.4 No.31(2019.4.1)で発表されたウスバツクシワラビです。
形態からウスバミヤマノコギリシダとヒカゲワラビの雑種と推定しています。実は2年ほど前から存在には気づいていて、冬枯れのフェノロジー等を地道に調べていました。
片親違いのセフリワラビ(ウスバミヤマノコギリシダ✕オニヒカゲワラビ、夏緑)やツクシワラビ(ホソバノコギリシダ✕ヒカゲワラビ、常緑)にやや類似しています。
特に、セフリワラビには類似しているように見えますが、同じくらいの規模の株ではウスバツクシワラビの方がより細かく切れ込みます。その他詳細な形態の相違点はシダの会会報を参照いただければと思いますが、ここでは写真を多めに解説。
ウスバミヤマノコギリシダが関係する既知の雑種の中では、最も華奢で繊細な形態の雑種だと思っています(主観)。
セフリワラビ↑
ツクシワラビ↑
以下、ウスバツクシワラビの形態写真を葉身頂部から順に掲載します。
上から順にウスバツクシワラビの葉身頂部、葉身中部の側羽片、最下側羽片。
比較用にセフリワラビの写真を以下同様に掲載します。
ウスバツクシワラビの方がより繊細で丸っこいです。
次はウスバツクシワラビのソーラスの様子を葉身頂部から順に掲載します。
上から順にウスバツクシワラビの葉身上部の側羽片のソーラス、葉身中部の側羽片のソーラス、最下側羽片のソーラス。
同様に、以下にセフリワラビのソーラスを。
ソーラスはどちらも軸よりにつきますが、ウスバツクシワラビの方がより辺縁との中間に位置する傾向がありそうです。
ウスバツクシワラビの側羽片基部の柄の様子。
セフリワラビの側羽片基部の柄の様子。
ウスバツクシワラビは無毛ですが、セフリワラビは多少とも毛を散生します。
サイズ感の比較。
左から、ダンドシダ、セフリワラビ、ウスバツクシワラビ。
いずれも片親をウスバミヤマノコギリシダとする雑種で、キヨタキシダとオニヒカゲワラビ、ヒカゲワラビの片親違いです。切れ込み方や裂片の先端形状等に違いが見て取れます。
ちなみにこれらは葉身長20cm程度の葉で、セフリワラビについてはかなり小型な状態。ウスバツクシワラビは、これくらいの大きさでも自生地では大きめのサイズです。