ゴリカナワラビ(シビカナワラビ・オオカナワラビと比較)
種名:ゴリカナワラビ
(Arachniodes x pseudohekiana Sa.Kurata, Dryopteridaceae)
解説:シビカナワラビとオオカナワラビの雑種
場所:鹿児島県
確認日:2018.7.28
ゴリカナワラビ①
ゴリカナワラビ②
ゴリカナワラビ③
ゴリカナワラビです。シビカナワラビの自生地やその周辺ではやや普通に見られます。後述するように羽片の形態やソーラスの位置、包膜の形状等で識別できますが、一筋縄ではいかない場合もしばしば...。
ぱっと見での気付きとしては、オオカナワラビ的な質感でありながら、小羽片が密につき、シビカナワラビに比べるとよりぼってりしている(厚みがあり光沢感が強め)といった具合です。
ちなみに参考に親種を掲載すると
シビカナワラビ①
シビカナワラビ②
シビカナワラビ③
オオカナワラビ(若い葉)
...といった具合です。シビカナワラビとオオカナワラビの全体的な差異としては、小羽片の間隔の広さ、小羽片の形といった部分が写真から判断できます。写真から判断が難しい差異としては、葉の色と質(シビカナワラビ:鮮緑でやや薄い、オオカナワラビ:深緑でやや厚い)といった部分を目安にできます(生育環境にもよるけど)。
ゴリカナワラビ③とシビカナワラビ①は、外観がよく類似しており、この写真だけでは識別が難しいと思います(小羽片の形をよく見ると異なることに気づいてもらえるかなと思います)。
ゴリカナワラビの側羽片。
シビカナワラビの側羽片。
オオカナワラビの頂羽片(いい写真がなかった...。)
シビカナワラビは小羽片間の重なりがより強く、小羽片の切れ込みがより深い。また小羽片の下側はオオカナワラビに比べてより幅広いです(丸っこく広がっている)。薄さも伝わりますかね?
ゴリカナワラビは中間的な特徴を示します。
ゴリカナワラビの頂羽片。
シビカナワラビもオオカナワラビも頂羽片が明瞭な種であるため、ヤマグチカナワラビ(オオカナワラビ✕ミドリカナワラビ)のようにやや不明瞭になることはありません。
ゴリカナワラビのソーラス。
シビカナワラビのソーラス。
オオカナワラビのソーラス
シビカナワラビでは軸と辺縁の中間に、オオカナワラビでは辺縁寄りに位置しています。ゴリカナワラビはシビカナワラビよりは辺縁よりではあるものの、オオカナワラビに比べると軸側に寄っています。上の写真では特に、小羽片の下側に付くソーラスの位置がより辺縁に寄っていてわかりやすいかと思います。
ゴリカナワラビの包膜。
シビカナワラビの包膜。
オオカナワラビの包膜(斜めに撮影⇒毛は一部がきれいに見えている)。
シビカナワラビの包膜の辺縁は全縁、オオカナワラビの包膜の辺縁は毛状縁。
ゴリカナワラビの包膜の辺縁も毛状縁ではあるものの、オオカナワラビに比べると不揃い&低密度であることがわかります。だいたい親の中間的な状態になっており、包膜が確認できるときは識別点にできます。
ゴリカナワラビの根茎。・
短く這う、くらいかな。