ヤブソテツ(ヒラオヤブソテツ型)
種名:ヒラオヤブソテツ型のヤブソテツ(Cyrtomium fortunei J.Sm., Dryopteridaceae)
解説:ヤブソテツ類のうち、石灰岩地に多い型。
場所:福岡県北部、西部
確認日:2017.12.3, 2018.6.9
ヒラオヤブソテツ。ヤブソテツ類の分類は誰かに教わったわけではなく、基本的には筒井さんの本を参考に現地で観察してきた中で、考え識別してきたものです。なので間違いがあるかもしれません。笑
現在ヤブソテツ類にまとめられているホソバヤマヤブソテツ、ツヤナシヤブソテツ、ヒラオヤブソテツ、(ヤブソテツ)の各型は、いずれも無融合生殖種であるほか、各型の間に中間型が存在しており、厳密に分類できない場合もままあります。が、ある程度はメジャーな型とマイナーな型があることも確かだと思います。
これらのうち、ヒラオヤブソテツは県内だと石灰岩地の周辺で多く見られる型で、ホソバヤマヤブソテツやツヤナシヤブソテツのように広くどこでも見られるわけではありません。
特徴は、短広つまり幅広で短く(丸っこい)側羽片(対ミヤコヤブソテツ、ホソバヤマヤブソテツ)、側羽片の基脚が心形ではなく広いくさび形から円形であること(対ツヤナシヤブソテツ)といったところかと思います。葉面の光沢はある個体もない個体もいるので決定打にはなりません。
※上の写真3枚目の型はちょっと怪しい。
ヒラオヤブソテツの最下側羽片。
ミヤコヤブソテツに比べると短広です。また、ツヤナシヤブソテツ型に比べると基脚の心形感は弱いです。
ヒラオヤブソテツの側羽片。
基部の耳片の発達具合はいろいろです。基脚は心形になりません。
光沢がある場合は、ミヤコヤブソテツやナガバヤブソテツ等に比べて脂っこい色合いであるように思います。また、この色合いの光沢は、ツヤナシヤブソテツ型の光沢型でも見られます。
ヒラオヤブソテツのソーラス。
裏面全体につき、ツヤナシヤブソテツ型よりは包膜は小さい印象かな?包膜の中心は濃褐色に(ほとんど)なりません。
ヒラオヤブソテツの葉身基部の中軸の鱗片。
ミヤコヤブソテツと同じくらいで、ツヤナシヤブソテツ型ほど幅広い(大きな)鱗片はつかないように思います。