ヒロハトウゴクシダ
種名:ヒロハトウゴクシダ(Dryopteris nipponensis Koidz., Dryopteridaceae)
解説:最下外側小羽片がやや伸張し、小羽片が丸っこいトウゴクシダ。
場所:福岡県の西部、中部
確認日:2017.10.1, 2017.10.10
トウゴクシダとすればそれまでなのですが、"トウゴクシダ"群の中にはいつくかのタイプがあり、これはそのうちの1型だと思います。
ヤブソテツのように、ホソバヤマヤブソテツやツヤナシヤブソテツをとりあえず一括りにするにしても、やはりその内訳を認識しておかなくてはと思い掲載した次第です。
ヒロハトウゴクの最下羽片の様子(2枚)。
葉面の光沢は強く、裂片の鋸歯はタカサゴシダやタカサゴシダモドキよりは目立ちません。最下外側の小羽片の伸張具合は、株の大きさや個体(群)により異なります。2番目の外側小羽片より長くなることもあります。
こちらはタカサゴシダモドキの最下羽片。
光沢がやや少なく、切れ込みが明瞭です。鋸歯の違いは写真だとわかりにくいですね。
比べてみると、ヒロハトウゴクでは小羽片や裂片が丸っこいという印象を持ちます。
ヒロハトウゴクの側羽片。
タカサゴモドキの側羽片。
やはり光沢や裂片には違いがありそうです。
ヒロハトウゴクの葉身頂部
タカサゴモドキの葉身頂部
ヒロハトウゴクではタカサゴモドキのような穂状というよりは、やや小さくまとまる株が多いように思います(実際にはいろいろかも)。
ヒロハトウゴクの鱗片の様子。
シャッキリとしたベニシダ類的な鱗片をしており、タカサゴシダのような膜質感はありませんでした。黒褐色〜濃褐色くらいの狭披針形ですかね。
トウゴクシダに比べて、ヒロハトウゴクシダはより湿潤な環境を好むように思います。私が確認した場所の多くは渓流や谷の細流周辺の岩上や付近の林床でした。
そんな違いもあって、起源や実体はトウゴクシダの型とは異なるような気がしています。