ヤマカラクサイヌワラビ
種名:ヤマカラクサイヌワラビ(ヤマカライヌワラビ)
(Athyrium clivicola Tagawa x A. vidalii (Franch. et Sav.) Nakai, Athyriaceae)
解説:ヤマイヌワラビとカラクサイヌワラビの雑種。
場所:福岡県西部
確認日:2018.7.22
オオカラクサイヌワラビはよく見かけますが、ありそうで中々出会えなかったのが本雑種。昔はカラクサイヌワラビの秋葉等によくだまされていました。
葉身の全体としては、頂部がやや矛状になるヤマイヌワラビといった具合です。ヤマイヌワラビも矛状になることはあるのだけど...。
以下の親種と比べると、中間的なことがわかるかと思います。
ヤマイヌワラビ↓
カラクサイヌワラビ↓
両種は小羽片の切れ込み具合、葉の質感に目立った違いがあります。
ヤマカラクサイヌワラビの最下側羽片とその柄。
小羽片の形態(輪郭)はヤマイヌワラビに酷似しています。というのもヤマイヌワラビの形態変異が激しくて違いを捉えきれていないのかも。ただ、葉質はやや乾いた感じでカラクサイヌワラビに類似しています。
また、ヤマイヌワラビがほぼ無柄なのに対し、ヤマカラクサイヌワラビではやや長い柄があります。以下がヤマイヌワラビの最下側羽片の柄。
ヤマイヌワラビの最下側羽片の柄は短い。
次にヤマカラクサイヌワラビの葉身中部の側羽片。
典型的なカラクサイヌワラビに比べると明らかに切れ込みが深く、細長いですね。
ヤマイヌワラビとは質感がやはり違う。
ヤマカラクサイヌワラビの葉身頂部。
カラクサイヌワラビのように急に狭まり、やや矛状になります。
ヤマカラクサイヌワラビのソーラス。
軸寄りにつき、馬蹄形のものが多く混じります。これはヤマイヌワラビ寄りの特徴ですが、カラクサイヌワラビにも馬蹄形は多少交じる(胞子は不定形でした)。
ヤマカラクサイヌワラビの小羽軸には顕著な突起はない。
ヤマカラクサイヌワラビの葉柄基部の鱗片。
中央部が濃褐色になるのはカラクサイヌワラビの特徴。
少なくとも辺縁が淡褐色なヤマイヌワラビの鱗片の特徴は、色合いの他にも、幅広く長いこと、ややひょろひょろした感じにも現れています。
まあヤマイヌワラビの鱗片は一面淡褐色〜中央部が濃褐色の場合までいろいろなので難しいですかね。
ヤマイヌワラビの鱗片↓
カラクサイヌワラビの鱗片↓