しださがし

福岡県のシダ植物を中心に見識を記録していきます。無断での転用・転載は禁止。

ツクシワラビ

種名:ツクシワラビ

(Diplazium chinense (Baker) C.Chr. x D. fauriei Christ, Athyriaceae)

解説:ホソバノコギリシダとヒカゲワラビの雑種。

場所:福岡県西部

確認日:2017.8.26

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国内でおそらくここだけ(筑紫)の雑種、ツクシワラビを探してきました。

ホソバノコギリシダとヒカゲワラビが混じるのかよ!とダンドシダ並に驚きの雑種です。筒井さんが図鑑に記述されていた通り、葉形や葉質は多様で、上の写真に掲載したように様々な特徴を示す個体・葉が確認できました。

最初の2枚の葉は今春展葉したと思われる葉で、最後の葉は最近(夏)展葉したと思われる葉です。葉質が全く異なりますね(どっちも実葉)。

 

親種も載せときます。

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ヒカゲワラビ(3回羽状複葉)

 

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ホソバノコギリシダ(羽状複葉)

 

ここからはツクシワラビの特徴を載せます。

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最下羽片の様子(肉厚の葉)。小羽片が独立しかかっています。ホソバノコギリのようにやや革質で、軸に対して直角に並ぶ様子は、その側羽片をイメージさせます。一方小羽片の鋸歯の様子はややヒカゲワラビに似た感じがします。

 

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軸上にはやや微毛(腺毛?)があり、これはホソバノコギリの特徴かな。

 

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ちなみに夏葉だとこんな感じで、前の春葉と比べると明らかに薄く辺縁がやや反り返る様子もありません。でもヒカゲワラビに比べると厚く、草質と紙質くらいの違いです。

 

 

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ツクシワラビ最下羽片のソーラスの様子(春葉)。

以下のホソバノコギリのソーラスに似ています。

 

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ホソバノコギリシダの側羽片。

 

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ツクシワラビ夏葉の側羽片ソーラス。

以下のヒカゲワラビのソーラスに似ています。

 

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ヒカゲワラビの側羽片。

ツクシワラビではヒカゲワラビよりも軸と辺縁の中間に配列するようです。

 

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ツクシワラビの鱗片は基部で黒色、上部にかけて濃褐色でした。

 

春葉と夏葉は便宜的にそう呼んだだけですので悪しからず。

ただ、異なる形態の葉を同一個体が出しているのは確かなようです。もちろん個体によってややホソバノコギリ寄りだったり、ヒカゲワラビ寄りだったりもするようです。が、両親種とは明らかに異なる形態を備えており、一見で識別することができます。