しださがし

福岡県から九州各地を中心に見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

イチョウシダ

種名:イチョウシダ(Asplenium ruta-muraria L., Aspleniaceae)

解説:独特な葉身のAsplenium

場所:福岡県の東部

確認日:2017.12.17

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この時期に及んで未だに活動中です(むしろ夏場に石灰岩地に行くとマダニがすごくて大変なので冬季に藪漕ぎ頑張ってます)。

県内で石灰岩地に特異的に分布するシダと言えば、このイチョウシダは外せませんよね。30株程が元気に生育しておりました。

石灰岩生ではあるものの、その生育環境はキドイノモトソウやクモノスシダ、コバノヒノキシダ、ツルデンダ、タチデンダ等とは異なるようでした。

 

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イチョウシダの葉身。

名前の通り、裂片は銀杏の葉にやや類似した雰囲気です。質感はやや肉質で、(実葉を探すために)いじくっていると折れてしまうくらいの強度でした。

 

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裂片の外縁部は歯牙状になっています。切れ込んでいるというか、縁が突起状になっている感じですね。裂片の両側は平滑です。

 

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イチョウシダのソーラスの様子。

各裂片の基部・中間寄りについています。常緑ではありますが、この時期に正常に胞子が成熟しているとは丈夫です。

写真の通り、中軸や葉柄には鱗片の他に腺毛が多く生えています。日本のAspleniumでは珍しい形質だと思います。

 

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イチョウシダの包膜。

TG4で頑張って撮りました。辺縁は毛状に裂けています。

 

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イチョウシダの鱗片の様子。

岩場なのにナナフシの卵が落ちているというサプライズ...。

Aspleniumの仲間らしく、格子状の鱗片でした。縁の透明な部分はやや広かったです。