ヒゴカナワラビ
種名:ヒゴカナワラビ
(Arachniodes simulans (Ching) Ching, Dryopteridaceae)
解説:ミドリカナワラビ系の光沢の弱い種。
場所:熊本県
確認日:2018.6.17
ヒゴカナワラビ(2枚)。今春見つけた時には包膜の状態が悪かったため、再度確認してきました。最初の写真は自然光下で撮影した個体です。ここには大株がそこそこ生育しています。本当はサンヨウカナワラビと比べてみたいところですが、まだ見たことがないので(笑)、ミドリカナワラビ(福岡県産)と比べることにしました。
ミドリカナワラビ(上は自然光下で撮影)。
比べてみると、ヒゴカナワラビでは葉身が幅広く、小羽片がより丸っこいことがわかるかと思います(宮崎のM先生にも丸っこいことが特徴だと教わりました)。標準図鑑に記載の広五角形状の葉身というのも、その通りの葉形ですかね。
また、自然光下での写真で比べるとわかりやすいですが、ヒゴカナワラビではより白っぽく光沢の少ない葉色、ミドリカナワラビではより緑っぽく、光沢のある葉色をしています。
ヒゴカナワラビの側羽片(実葉・葉身上部)。
ミドリカナワラビの側羽片(実葉・葉身中部)
ヒゴカナワラビでは全体に丸っこい小羽片(裂片)であることがわかります。
ヒゴカナワラビの小羽片(裸葉)
裸葉ではより丸っこいことがわかりやすいです。また、裂片の先端は芒状です。
ヒゴカナワラビの最下側羽片(大型の葉)。
最下外側の第1小羽片が著しく発達することはなく、2番目と同じ程度です。
ヒゴカナワラビの葉身頂部(大型の葉)。
徐々に狭まり、やや鉾状なくらいで、明瞭な頂羽片は形成していません。
ヒゴカナワラビのソーラス(2枚は別個体のもの)。
ミドリカナワラビのソーラス。
ヒゴカナワラビのソーラスは、軸と辺縁の中間〜辺縁寄りに位置しています。ミドリカナワラビよりはやや辺縁寄りな気もしますが、同程度な場合もあると思います。
ヒゴカナワラビの包膜。
ミドリカナワラビの包膜。
ヒゴカナワラビの包膜は毛状突起縁で、ミドリカナワラビの包膜は突起縁です(やや未熟なことは否めないけど)。この点で、この個体がサンヨウカナワラビではないと言えるかと思います(胞子も定形だったし)。
ヒゴカナワラビの小羽片裏の毛の様子。
ミドリカナワラビの小羽片裏の毛の様子。
毛の量は同じか、ミドリカナワラビの方がやや多いくらいですかね。
ヒゴカナワラビの葉柄上部の色。
葉柄上部というか、中軸の下部まで淡紅色でした。
ヒゴカナワラビの葉柄下部の様子。
葉柄は下部まで淡紅色で、鱗片は褐色でした。