キュウシュウイノデ
種名:キュウシュウイノデ(Polystichum grandifrons C.Chr., Dryopteridaceae)
解説:葉身頂部が矛状になるイノデ
場所:鹿児島県本土
確認日:2017.6.17、2017.8.8、2020.1.4
まだまだネット上には形態情報の少ないイノデ様です。思いの外すぐに見つけることができました(通常、自生状態ではほとんど見る機会の無いイノデです)。
よく見るイノデ類に比べてぼってりとしている感じがわかるかと思います。
[2020.1.6追記]
知人の研究者の方から教わっていた群生地の状況を確認してきました。私が見つけた場所には子株が1個体しかいませんでしたが、ここには大型の個体が多数生育しています。大型になったものは、重厚感のある風貌をしており、圧倒されます。
※昔撮影した写真の画質が微妙です。
葉身の頂部が急に狭まり、やや頂羽片状になること、葉の表面の光沢がやや強いことがキュウシュウイノデの特徴です。
若い葉は黄緑色〜緑色ですが、成熟した葉は深緑色を呈しています。
以下、軽易な部分は適宜加筆・修正しています。
キュウシュウイノデの葉身頂部。
頂部が矛状になっています。
[2020.1.6追記]
キュウシュウイノデの葉身中部の側羽片。
キュウシュウイノデの最下側羽片。
葉身下部の小羽片は丸っこく鈍頭で、辺縁には先端がやや芒状の細かい鋸歯があります(発達した小羽片ではやや鋭頭になっていますが)。
近隣でよく見られるイノデやサイゴク、モドキとはかなり異なった風貌です。
また、小羽片同士はツヤナシイノデのように明らかに重なり合っています(サイズ感は全く違うんだけど)。
キュウシュウイノデのソーラス。
ソーラスはやや軸よりの中間性です。図鑑の記述では包膜が無いとのことですが、時期的に確認できませんでした。
小羽片基部上側は鋭頭の耳片となっています(ノギが痛いくらい)。
キュウシュウイノデの葉柄基部の鱗片。
褐色の鱗片がやや密についています。以下のように、葉柄上部や中軸にかけて鱗片は細くなりますが、いずれも明らかな突起縁です。
キュウシュウイノデの葉柄基部鱗片の拡大。
キュウシュウイノデの中軸の鱗片の拡大。