しださがし

福岡県から九州各地を中心に見つけたシダ植物について紹介していきます。無断での転用・転載は禁止。

ホオノカワシダ

種名:ホオノカワシダ(Dryopteris shikokianum, Dryopteridaceae)

解説:大型でかっこいい種

場所:福岡県中部

確認日:2020.5.31

f:id:shidasagashi:20200531214148j:plain

ホオノカワシダです。ごく湿潤で通気性の良い場所を好むようで、福岡県内での自生地は限られています。ここは3年程前に林内の道なき道を駆け回っていた時に偶然見つけた自生地で、100株以上が群生しています。近くの別の谷では、同様に湿潤な環境を好むオトコシダも群生していました。

 

f:id:shidasagashi:20200531214139j:plain

輪郭がわかるようにフラッシュを用いて撮影したものも掲載しておきます。葉形は広い三角状卵形で、葉身の大きさは最大で70cm程にもなる場合があります(条件次第で大きくなる)。かっこいいシダです。

 

 

 

f:id:shidasagashi:20200531214235j:plain

ホオノカワシダの最下側羽片。

側羽片の柄は明瞭ですが、側羽片の長さの割には短いです。最下外側の小羽片は2番目と同程度、小羽片の裂片は複生していますね。各小羽片の先端はやや尾状になっています。※多少雨に濡れています。

 

f:id:shidasagashi:20200531214226j:plain

ホオノカワシダの葉身中部の側羽片。

小羽片の裂片は深裂しています。キヨスミヒメワラビと似ていると思われる方がいるかもしれませんが、葉質は明らかに硬いです。

 

f:id:shidasagashi:20200531214013j:plain

ホオノカワシダの葉身頂部。

なだらかに狭まり、矛状になることはありません。

 

 

 

f:id:shidasagashi:20200531214023j:plain

ホオノカワシダの葉面。

小さな毛状の鱗片が疎らに生えています。

 

 

 

f:id:shidasagashi:20200531214311j:plain

ホオノカワシダのソーラス。

ソーラスは軸と辺縁の中間につきます。

なお、以下の写真のように、包膜はありません。

f:id:shidasagashi:20200531214030j:plain

↑ホオノカワシダのソーラスの拡大。

 

 

 

f:id:shidasagashi:20200531214036j:plain

↑ホオノカワシダの葉柄上部の鱗片。

f:id:shidasagashi:20200531214043j:plain

↑ホオノカワシダの葉柄基部の鱗片。

葉柄には濃褐色で硬質の鱗片がやや密につきます。鱗片は開出してついており、葉柄基部ではやや反り返っています。鱗片は葉柄の上部では細くなり、中軸や羽軸にも疎らについています。この鱗片はホオノカワシダのかっこいい要素の一つで、初めて見た時はとても印象的だったことを覚えています。