イツキイノモトソウ
種名:イツキイノモトソウ(Pteris x calcarea Sa.Kurata, Pteridaceae)
解説:クマガワイノモトソウとイノモトソウの雑種
場所:熊本県
確認日:2018.1.3
クマガワイノモトソウと同所的に生育していました。名前は最初に発見された場所の地名ですが、他の場所でも見つかります。有性生殖のクマガワイノモトソウと無融合生殖のイノモトソウ間の雑種とされています。
葉身が中軸に延着することや羽片の幅、色合い等から、両親種と識別しやすい雑種だと思います。全体にイノモトソウよりもがっちりとした重厚感がありました。
イツキイノモトソウの中軸(実葉)。
イノモトソウのように軸に延着していることがわかりますが、ちょっとぎこちないですね。
イツキイノモトソウの最下側羽片(実葉)。
このくらいのサイズのイノモトソウでは、側羽片から複数の裂片が分岐しますが、イツキイノモトソウでは分岐数は少なく、(0〜)1(〜2)本のみでした(5株の観察で)。
イツキイノモトソウ(左)とクマガワイノモトソウ(右)。
イツキイノモトソウは各羽片が幅広く、また葉身の色合いがクマガワイノモトソウに類似していることがわかります。
イツキイノモトソウの裸葉。
イノモトソウに比べて鋸歯が細かく均質で、また葉質はより硬質です。
イツキイノモトソウの葉身の様子。
イツキイノモトソウのソーラスの様子。
イノモトソウだとわずかに偽脈があり、クマガワイノモトソウには偽脈がありません。
少しはでるかと思いましたが、イツキイノモトソウでは偽脈は確認できませんでした。
イツキイノモトソウの脈。
イノモトソウの脈は辺縁に達しない、クマガワイノモトソウの脈は辺縁に達するとのことで、中間的...と言うよりは達していない傾向が強かったです。
イツキイノモトソウの鱗片の様子。